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きょうこ先生

第9回: 英語より大切なもの

先日、きょうこ先生あてに一通のメールが届きました。英文科でマジメに英語を勉強している大学2年生のKさんからです。Kさんはそろそろ就職のことを意識し始めたようで、「英文科だからといって、英語だけ勉強していてもだめなんじゃないの?」と疑問に思いはじめたようなのです。

英語の重要性については、いつかこのコラムでも話さなくちゃいけないと思っていました。だってKさんが考えているように「英語だけでは不十分」というのは、まさにそのとおりだからです。英語ができて英文科に入っても、文学的センスがなければ英文学の論文を書くのもつらいし、日本語の読み書きができるみなさんだって、実際やっている仕事はそれぞれで、やったこともない別の仕事を突然やってくれと言われても困るはずです。つまり、「英語力がある」というだけでできる仕事なんてないのです。

さて、英語力をつけるだけではだめだというのなら、一体何をすればいいのか。これは正直言って難しいところです。このコラムの読者は、既に仕事を持っていてステップアップのために英語を勉強しているという人が大半だろうと思います。そういう人たちは「英語がもっとできれば、今やっている仕事にプラスしてこういう分野の仕事もできるようになる」という自分の未来像を描くのも比較的簡単でしょう。でも学生となるとこれが難しい。まだ自分がどんな仕事に就くかもわからない段階ですから、「英語できます、TOEIC800点」と履歴書に書いてみても、英語の成績と就職の合否の関係は、きっと互角の候補が複数いた時の最終選択手段として使われるくらいなのではないでしょうか。

もちろん英語力はあったに越したことはないし、英語が絶対必要な仕事に就く場合は有利だというのも間違いありません。でもそれ以前に重要なこと、それは自分が何をしたいかというビジョンを持つことです。そのために今自分が何をしているのか、そしてそれを将来どう生かしていけるのか、それをうまく語れる人は少ないし、またそれが語れれば就職活動で有利になることは間違いないでしょう。これは転職活動でも同じですよね。転職経験のあるみなさん。

なーんて、面接官でもない私がエラそうに言ってしまいました。でも経験上、私の言うことは間違ってはいないと思うのです。確かに私はたまたま英語ができたし、今まで関わってきた仕事もたまたま英語が必要なものが多かったのも事実です。でもキャリアを積むにつれ、自分の仕事の中で英語の重要度がどんどん下がってきたのを感じるのです。仕事ができるなーと思う人と英語ができるなーと思う人との関連性は全然ないし、自分自身英文雑誌のライターをしていても、英語力より「取材力やリサーチ能力をもっと向上させなくちゃ」と感じたり、翻訳をしていても、英語力より「(IT業界の翻訳ばかりなので)技術知識がもっとあればなぁ」と感じるのですから。英語力もそれなりに重要ですが、他の能力の基準を満たすほうがずっと大変だとしみじみ感じています。

就職活動をしているみなさん。あなたは5年後、10年後、どういう仕事をしていたいですか?英語を勉強する前に、自分に問いかけてみるのもいいかもしれません。

きょうこ先生へのおたよりはkyoko@careercross.comまで

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