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「ランド・オブ・プレンティ」



9.11以降アメリカが喪失したものは何か?ヴェンダースが描く、豊かな国の真実 



 アメリカを旅すると、どこか違和感がある。それがNYやLAといった大都会ではなく、郊外へと行けば行くほどその違和感は増幅していく。オフィス街、高級住宅地、スラム、ショッピングモール、ゴーストタウン……。まるで見えない壁が仕切られているように、移動するにつれて。町の風景がガラっと変わってしまう。そして、そのエリアはすごく狭い。例えCNNが24時間流れていようと、そこから世界の動きを見ることは難しい。

 ヴィム・ヴェンダースの新作「ランド・オブ・プレンティ」もまた、アメリカの持つ違和感と見えない壁を描き出す。見えない壁とは、2001年9月11日以降、アメリカと、それ以外の国の間を隔てるものだ。主人公のラナ(ミシェル・ウィリアムズ)は、アメリカ生まれのイスラエル育ち。死別した母親の手紙を、唯一の身内である叔父の元へ届けようとアメリカにやってきた。一方、叔父のポール(ジョン・ディール)は、元ベトナム軍人で枯葉剤の影響で常に痛みを抱えている。そして今は、誰ともわからないテロリストを見つけ、第二の9.11を防ごうと、私営でLAの町中をパトロールしている。


 そんな2人が出会うのはホームレス向けの伝道所だ。ラナの父親は宣教師であり、ラナもそこでヘルパーとして働こうとしていた。一方、市内のパトロール中に、ポールはターバンを巻いて、両手に段ボールを抱えた人物を見つけた。その男をテロリストの一味と決めつけ、その人物を追ってたどりついたのがラナのいた伝道所だったのだ。しかし、その男は突然、伝道所の前で打たれてしまう。最後にその男が残した言葉は、トロナだった。そして、ラナとポールは、トロナがLAから300km近く離れたのところにある町だと知った。ラナは、トロナにいるその男の兄に遺体を届けるために。そしてポールはテロリスト一味のアジトを突き止めようと勘違いしたまま、2人は旅に出る。


 ヴェンダースお得意のロード・ムービー展開の中で、今のアメリカが抱える闇を描き出す。そして、アメリカが喪失してしまったものを、ラナの母親とポールとの関係性を通して訴える。それを浮かび上がらせるように、ラナの無垢さもまた、映画全体を通して印象的に残る。 

 ラストに流れるのは、この映画のタイトルとなったレナード・コーエンの「ランド・オブ・プレテンィ」。豊かな国の真実に、光をあてようと歌う。

「ランド・オブ・プレンティ」
アメリカ 2004年
監督・脚本 ヴィム・ヴェンダース『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』『ベルリン・天使の詩』
音楽 トム&ナクト、レナード・コーエン他
配給 アスミックエース
10月22日より シネカノン有楽町他、にて全国順次ロードショー

http://landofplenty.jp/

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