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ロード・オブ・ウォー

人間はなぜここまで武器を必要とするのか?

悪魔に魂を売ったのか、それとも人間が悪魔なのか?


 ニコラス・ケイジ最新作は、世界で暗躍する武器商人をリアルに描いた問題作「ロード・オブ・ウォー」。冷戦終結以降、大量の武器が世界へと流出。その結 果、内戦やテロ、独裁政治などを増長させることになった。その一端を担ったのが、非合法で活動する武器商人たち。この壮大なテーマに対し、「ガタカ」「シモーヌ」など を手がけたアンドリュー・ニコル、そしてニコラス・ケイジが挑む。
 
 ニューヨークの下町で食堂を営むウクライナ移民の子供として、うだつの上がらない生活を送っていた主人公。ロシア人ギャングの抗争を目撃したときから、 銃に魅せられ、そして武器商人への道を歩みはじめていく。情報収集能力に交渉力、豊富な商品知識、トラブルを回避する知恵、そして行動力、情熱。営業マン としてこの上ない資質を備えた彼が売りまくるもの、それは「死」……。実在する5人の武器商人たちをミックスして生み出された主人公ユーリーの、壮絶な生 き様に圧倒される。
 

  悪魔に魂を売ったかなのような所業を繰り返しながら、冷酷非道なだけでない複雑な主人公をニコラス・ケイジが見事に演じあげる。老獪な武器商人役のイア ン・ホルムや正義感あふれるインターポール刑事役イーサン・ホークとニコラス・ケイジの静かなバトルも見物。武器商人としてデビューしたての頃、世界の要 人が集まる兵器ショーでは鼻であしらわれていたユーリーが、冷戦を期に大金を稼ぎだし、ちんぴら風情から正真正銘のリッチマンになっていく出世ストーリー も興味深い。
 「ロード・オブ・ウォー」は、フィクションでありながら、ほとんどのエピソードが現実に裏打ちされている。そしてラストシーン近くで明かされる衝撃的な内容から、映画製作の資金調達が困難になってしまったという曰く付きだ。


 マイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」は、アメリカ銃社会の問題を鋭くえぐった傑作ドキュメンタリーだが、今回の 「ロード・オブ・ウォー」は、同じような病巣を描きながら、正義と悪の境界線が曖昧になっていくような薄気味悪さがよりリアルに恐ろしい。
  世界の暗部を描いた、間違いない力作。表舞台には決して出てこない暗い現実がここにある。

2005年/アメリカ/122分
製作/監督/脚本 アンドリュー・ニコル
配給/ギャガ・コミュニケーションズ
公開は12月17日 有楽座他全国東宝洋画系にてロードショー
© 2005 Film & Entertainment VIP Medienfonds 3 GmbH & Co. KG and Ascendant
Filmproduktion GmbH
www.lord-of-war.jp/index2.html

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