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第14回 : Japan Inc eyes Vietnam

執筆者: 正木寿根
掲載日: 2006-07-31


今回のキー表現 corporate Japan


Japan Inc smitten by Vietnam

By Hisane Masaki

TOKYO - After a lengthy investment spree in China, many of corporate Japan's biggest names are making inroads in one of the world's few remaining communist states: Vietnam. In 2005, Japan invested about $400 million in a record high of 97 new FDI (foreign direct investment) projects in Vietnam on an approval basis. In terms of the value of investments made that year, Japan was the third-biggest foreign investor in Vietnam after South Korea and Hong Kong.
(Asia Times   June 15, 2006)

*引用文は原文と一部異なることもあります
  • Japan Inc. 日本株式会社、日本の産業界、日本の経済界
  • smitten smite 「魅する」の過去分詞形
  • lengthy 長い; 長たらしい
  • investment spree 豪勢な投資、積極的投資、投資フィーバー (注) spreeは「浮かれ騒ぎ」の意味で、spending spree とすると「やみくもにものを買いまくること」の意味。
  • corporate Japan 日本の産業界、日本の経済界
  • big name 有名人
  • make inroads 進出する、侵攻する
  • remaining 残りの
  • communist state 共産主義国
  • invest 投資する
  • record high 記録的な高さ
  • foreign direct investment (FDI) 海外直接投資、外国直接投資
  • on an approval basis 認可ベースで
  • in terms of  ~の点で(は)、~の点から見ると
  • value of investments 投資額
  • investor 投資家、投資者

和訳

日本の超有名企業の多くは長らく中国に積極的に投資を行ってきたが、今や世界でも数少なくなった別の共産主義の国、ベトナムへも進出している。2005年の日本の対ベトナム直接投資(認可ベース)は金額で約4億ドル、新規プロジェクト件数は過去最高の97件となった。投資金額で日本は、韓国、香港につぐ第3位の対ベトナム投資国・地域だった。

覚えておきたい関連・応用表現

  • cheap labor 安価な労働力
  • labor cost 人件費、労賃
  • per capita income 一人当たりの所得 
  • investment destination 投資先
  • production base 生産拠点、生産基地
  • moving production bases to 生産拠点を~に移す
  • investment treaty[pact] 投資協定
  • production capacity 生産能力
  • wholly owned subsidiary 完全所有子会社、全額出資子会社
  • ~-percent owned subsidiary ~%所有の子会社
  • 50-50 joint venture 折半出資の合弁会社
  • initial capital 当初資本金
  • (be) capitalized at $~ 資本金が~ドルである
  • overseas production ratio (= overseas production percentage; percentage of products manufactured overseas) 海外生産比率
  • most-favored-nation (MFN) status 最恵国待遇
  • national treatment 内国民待遇

解説


第14回 : Japan Inc eyes Vietnam
共産主義政権は今や、世界でもほんの一握りの数しかない。もちろん、その代表格はお隣の国・中国である。小泉純一郎首相の靖国神社参拝などで政治面での日中関係は国交正常化以来最悪の状態だが、日本にとって中国は米国を抜いて最大の貿易相手国となるなど経済関係はますます緊密化しており、「政冷・経熱」と言われている。日本企業の中国投資熱も依然として高い。だが、一方で最近は、もうひとつの残り少ない共産主義政権の国・ベトナムに日本企業の熱い視線が注がれている。大企業だけでなく、中小製造企業やIT(情報技術)企業の進出も相次いでいる。中国、ベトナムとも共産主義政権とはいえ、経済面では共産主義の国とはもはや言えないほど変わってしまった。中国は1970年代末から、ベトナムは1980年代半ばから改革・開放路線に転じ、積極的な市場経済改革・外資導入を図ってきている。中国は世界貿易機関(WTO)に2001年末に加盟した。ベトナムも年内にWTOに加盟する見通しだ。ベトナムは1986年、「ドイモイ(刷新)政策」と呼ばれる対外開放・市場経済改革路線を導入した。今年はそれからちょうど20年になる。ベトナムは現在、東南アジアでもっとも高い成長率を誇っている。WTO加盟でベトナムへの日本などからの海外投資はさらに増えるものと予測される。中国がWTOに加盟した2001年末、ほぼ同時期に同年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合(サミット)が上海で開催されている。偶然と言えるだろうが、今年のAPECサミットは11月にベトナムの首都ハノイで開催される。中国と同様に、ベトナムはWTO加盟、APECサミット主催という大きな外交成果をほぼ同時期に内外に示すことになりそうだ。

2000年には日本の投資先としてベトナムは8位だったが、昨年は中国、インド、タイについで4位になったという。とくに、中小企業にとっては中国に次ぐ第2位の投資先になったという。昨年の日本の対ベトナム直接投資(認可ベース)は件数で過去最高の97件となった。金額では約4億ドルで、韓国、香港に次いで第3位の投資国・地域となった。しかし、香港からの投資には日系企業の投資もかなり含まれていると見られることから、実質的には最大の投資国・地域だった可能性もあると指摘する専門家もいる。さらには、ベトナムにとって日本は最も効果的な投資国と考えられている。というのは、日本の投資実行率はきわめて高いからだ。1988年から昨年までの間に日本は計62億ドルの投資を行った(認可ベース)。そのうちの約74%、金額にして45億ドルが実行されている。この投資実行率は他の投資国・地域と比べると、ずば抜けて高い。1988年から2005年までの実行ベースでの累計投資額では日本はトップとなっている。現在の日本や諸外国・地域のベトナム投資ブームは1990年代半ばに次ぐ第2のブームだ。第1のブームは、かって敵国としてベトナム戦争を戦った米国が1994年に対ベトナム経済制裁を解除、翌1995年にベトナムと外交関係を樹立したことを受けて起きた。日本の1995年の対ベトナム投資は11億3000万ドルで、これは金額ベースでは依然として過去最高だ。現在の第2のベトナム投資ブームの中、ベトナム政府が群を抜く投資実行率を誇る日本に寄せる期待は大きく、同国政府高官も投資誘致のため日本を頻繁に訪れている。現在のベトナム投資ブームの背景には、中国は大変魅力的だが、いろいろと不安定要因もあり、中国投資に伴うリスクを分散するために、もうひとつ別の国を投資先として考える必要があるとの認識が高まったことが背景にある。こうした日本企業の投資動向は「中国プラス1」とも言われている。その「プラス1」の投資先として最も注目を集めているのがベトナムだ。

corporateは「企業の、法人の、共同の、団体の」の意味で、テキストの英文のように corporate Japan とすると「日本の産業界、日本の経済界」の意味になる。同様に、corporate America とすれば「アメリカの産業界、アメリカの経済界」の意味になる。Japan Inc.「日本株式会社」は元々、第二次大戦後の日本で行われてきた官民の一体化した経済運営方式を揶揄(やゆ)していう言葉として使われるようになったが、現在では、必ずしも揶揄しての言葉でなく単に「日本の産業界、日本の経済界」の意味で使われることも多い。実際、テキストの英文ではcorporate Japanと同じ意味で使われている。

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