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Vol.2 晴天の霹靂 日本語講師への道 (前編)
大学院進学のためにオレゴン州からニューヨークに移ったものの、すぐにアパートに入居できなかった。それどころか、数日間宿泊するはずだったB&Bがダブルブッキングだったため、急遽、B&Bの隣人宅に間借りさせてもらうことになった。授業が始まるまでの1カ月は引っ越しなど生活基盤を整えるつもりでいたのだが、契約したアパートにも授業が始まるまでは入居できないという。思いがけず時間が空いたので、この機会に仕事を探すことにした。
私が入学した大学院は、学生が仕事を続けながら通えるように授業時間が夜に設定されている。できれば私も学業と仕事を両立させたいと考えていたが、学業を優先して無理のない程度に働きたい。そこで考えついたのが、語学学校で日本語教師の助手や受付事務だった。
バスで30分ほど離れた街に有名な語学学校がある。ある日、散策も兼ねて出かけてみた。ガラス張りのドアを開け、受付にいた女性に「こちらで、受付か講師のアシスタントなどのアルバイトを募集していませんか」と尋ねた。すると、彼女の横でこちらに背を向けて立っていた男性が振り返り、「何語が話せるの?」と聞いてきた。「日本語です」と答えると、「本当に! ちょうど日本語講師を募集しようと思っていたところなんだよ。やってみない?」あれ? 話が急展開している。勘違いされたのかもしれないし、話を戻さなければ・・・。「私は日本語を教えた経験もないし、来月から大学院に通うので、受付やアシスタントといったアルバイトを探しているんですが・・・」「うちの講師はみんなトレーニングを受けているので、未経験でも大丈夫。ちょうど今週からトレーニングを始めるところだし、勤務時間も希望やスケジュールに合わせて決められるよ」。彼は講師の監督責任者だった。
日本語講師になろうと考えたことなどなかったので突然の話に少し戸惑ったが、これも何かの縁かもしれない。ちょうど時間もあるのでやってみることにした。学校のシステムや今後のスケジュールなどについて一通りの説明を受け、必要書類への記入なども済ませた。「じゃあ、トレーニングの日に会いましょう」。まさかこの後、悪夢のような日々が始まることになるとは、夢にも思わなかった・・・。
(後編に続く)
