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マーダーボール

執筆者: 三田法子
掲載日: 2006-10-06

「マーダーボール」

障害の有無など関係ない。自分の居場所はきっとある!


身体障害者を扱ったドキュメンタリー作品、と聞いただけで少し腰が引けてしまう人も多いかもしれない。重く感傷的な印象がどうしてもつきまとう。しかし、その固定観念を見事に払拭してくれるスポーツドキュメンタリーが登場した。

あまりにも激しい戦闘が繰り広げられることから、“マーダーボール”(Murder Boll / 殺人ボール)と名付けられたウィルチェアーラグビー(Wheelchair Rugby / 車椅子ラグビー)。アメリカではクアッドラグビー(Quad Rugby)と呼ばれている。Quad とは Quadriplegia 「四肢麻痺」を意味している。 

2002年、スウェーデンで行われた第11回ウィルチェアーラグビー世界選手権大会で、永遠のライバルとされるアメリカvs.カナダ戦から、「マーダーボール」のストーリーが動いていく。それまで10連覇中のアメリカは、世界ランキング5位のカナダと対戦。顎鬚に刺青といかにも威嚇的なマーク・ズパン率いるアメリカ代表選手たちには、その試合に特別な思いが込められていた。それは対戦国カナダ代表のコーチはかつてのアメリカ代表であり、戦術を知りつくした“裏切り者”ジョー・ソアーズその人だったからだ。ジョーはアメリカ代表から戦力外通告を受けたことを逆恨みし、無断でカナダ代表の監督に就任していた。闘争心剥き出しに吠え掛かるジョーに対し、罵声を浴びせるアメリカ代表。緊迫した中、試合は始まった。しかし、その結果は選手の思いとはまったく予想もしない結果に。

それから2年後のアテネパラリンピックに向けて、アメリカのリベンジの戦いへつながっていく。

車椅子といっても、メタル使用にカスタマイズされた戦闘機。激しく衝突し、文字通り殺人的なボールプレイが繰り広げられる。事故や病気によって車椅子生活を余儀なくされた彼らが、ラグビーに出会い、その絶望の闇から生きがいを見つけ成長してゆく姿を描く。鍛え抜いた身体で挑むアスリートたちは皆クールでアグレッシブ。その姿をスピード感あふれる映像で追い続けている。自信を失くして立ち止まってしまっているとき、そっと背中を押してくれる、そんな作品だ。

『マーダーボール』
10月7日(土)より渋谷アミューズCQN他にてロードショー
配給:クロックワークス
詳細はhttp://www.klockworx.com/murderball/

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