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第一回キャリア講座
外資系キャリア講座:第一回は11月12日、日本コーン・フェリー・インターナショナル社長、橘・フクシマ・咲江氏、マネックス証券社長、松本大氏をお招きして、東京ウィメンズプラザで行われました(フクシマ氏のプロフィール、インタビューはこちら。松本氏のプロフィール、インタビューはこちら)。
「世界が求めているのは戦略的思考ができる人材」(フクシマ氏)

コーン・フェリー・インターナショナルといえば、リテイナーベース(事前に企業からコンサルティング料を取って人材を紹介する)のエグゼクティブサーチとしては、世界で最大手といわれていますが、外資系キャリア講座ではまず、その日本法人の社長として、外資系企業への日本人のプレイスメントに携わってきたフクシマ氏の講演がありました。まず、近年、外資系企業のほとんどが、「海外経験があり、多様な価値観を持った人材、危機管理ができる人材を望んでいる」とフクシマ氏。その上で「現代の企業にとっては、毎日が危機の連続で、『過去にこういう対応をしたから、今こうしよう』というのでは適切な危機管理ができません。危機に面した時に、経験からでなく、いかに創造的で柔軟な対応かが重要な資質なのです」と発言されました。この他、1)すべての責任を一人で持って決断できる起業家精神を持っている、2)企業が目標を達成するためにどうすればいいかを戦略的な思考に基づいて提案できる、というのも個人的な資質として大切な要素、としています。いずれも、過去の事例を踏まえて対応する、もしくはチーム全体で責任を取る、といったスタイルが一般的な日本の企業では育ちにくい資質です。だからこそ、「こうした人材になるためには個人の努力が必要」と話しています。それでは、どうしたら多様性に対応できて、危機管理ができる人材になれるのか?フクシマ氏は以下のようにアドバイスしてくださいました。
- プロフェッショナルになる:一般に、ひとつの分野に長けた「スペシャリスト」に対して、多岐の分野に精通している「ジェネラリスト」という分類がありますが、フクシマ氏が提唱しているプロフェッショナルとは、「ひとつの領域でスペシャリストに負けない専門性を持ちながらも、全体的を見渡せる視点がある」人のこと。
- グローバルに通用するフレームワークを身に付ける: MBAは世界的に共通するビジネスの概念を学ぶ場所であり、万国共通のフレームワークのひとつです。こうした共通概念は独学でも学べますから、必ずしもMBAを取る必要はありませんが、このように戦略的な思考ができるようになるツールを積極的に学んでおくこと。
- 海外経験を積む:必ずしも海外での勤務経験や留学経験が必要というわけではありませんが、積極的に多様な文化の環境に身を置くように。
- 論理的なコミュニケーション能力を高める:いくら語学ができても、説明に時間がかかる、結論がはっきりと述べられないというのはNG。相手にわかりやすいように、論理的に話が進められるよう心がけておく。
- 常に社長の視点を持つ:常に「もし自分が社長だったらどうするか?」とシュミレーションして、会社の全体像を見る、自分の仕事はその全体像の中でどんな位置にあるのかを見極める、という癖をつけておく。たとえば、今はコピー取りの仕事をやらされていても、コピーの資料の中身が何であるか、誰に配布されるものか、会社の経営の中で何を意味するかを知っているかいないでは、後々その人の成長に大きな差が出てきます。
- 創造的な解決法を提示する力を身に付ける:どんな会社にも問題があり、問題に直面した時に客観的な解決法が提示できるかできないかで、その人への評価が変わってきます。問題があったら、オプション1、オプション2、オプション3と自分なりの解決法を考え、シュミレーションしてみましょう。また問題を上司に報告する場合にも、「どうしましょう?」ではなく、「こういう問題があり、自分はこういうオプションがあると考えますが、いかがでしょうか?」と提案できるように。
「ビジネスは常に時間軸の中で存在する」(松本氏)
次に講演した大手外資系証券会社を経て、オンライン専業の証券会社を創業したマネックス証券・松本社長は、実力主義といわれる外資系で結果を出すためにはどうすればよいかについて、1)コミュニケーション能力を向上させる、2)時間感覚を磨く、3)会社のエクイティ・バリューを上げる努力をする、の3つを挙げました。
- コミュニケーション能力を向上させる:コミュニケーションが単なる会話(conversation)と違うのは、コミュニケーションでは相手に自分言っていることを理解させるだけではなく、相手に行動を起こさせる力を伴っている必要があるという点です。たとえば、部下二人に「営業部にxxするように話しておいてくれ」と頼んだとします。部下Aはきちんと営業部全員にメールを送って指示を伝えましたが、営業部は何もアクションを起こしませんでした。反対に部下Bはメールは送信しませんでしたが、全員にアクションを起こさせました。この場合、大切なのは「営業部がアクションを起こす」という結果であり、全員にメールを送ったかどうかではありません。「芸術家はすばらしい作品を創造すれば、相手から理解されなくてもいいかもしれませんが、発信したものを相手が理解し、対価としての代金を支払ってくれない限り、ビジネスは成立しません」と松本氏。また、コミュニケーション能力は必ずしも語学力に比例しません。相手に「知りたい」と思わせることができれば、相手が自然と自分の話を聞こうと努力してくれるものなのです。

- 時間感覚を磨く:ビジネスは時間軸の中で存在します。ある時重要だった専門性が次の年にも重要であるとは限らないし、今ヒットした商品が来年もヒットしているとは限りません。日本の会社は時間感覚が緩い傾向にありますが、外資系で成功したいなら常に時間のセンスを研ぎ澄ませておくこと。
- 会社のエクイティ・バリューを上げる:ビジネスおいては、その会社に「新しい価値」を提示する力、今その会社にないものを創る力が大切です。常にパイオニア精神を持ち続け、新しい価値を創造する努力を怠らない。
松本氏は東大卒業後、すぐに大手外資系証券会社に就職しましたが、当時は英語が苦手だったこともあり、言葉や文化の壁に当たることもしばしばだったと発言。たとえば、上司に仕事を評価してもらえない時には、その上司がアメリカ人だから、とかイギリス人だから、という風に考えてしまい、自分の方から心理的な壁を作ってしまうこともあったと言います。「冷静に考えてみれば、どこの国にもつまらない人間はいるわけですし、たまたまその人がアメリカ人、もしくはイギリス人だっただけで、もし相手が日本人だったらもっとひどいことを言われたかもしれません。しかし、頭では分かっていても、感情的を抑えるのはなかなか難しいものです」と松本氏。
こんな経験を踏まえ、苦手な外国人上司やクライアントの対処方法として、松本氏が提唱してくれたのは、その人の名前を、一瞬、佐藤さんとか田中さんにといった、よくある日本語の名前に置き換えて考えてみる、という方法。「自分ではこういう心の余裕がありませんでしたが、もしやっていれば、『同じ田中さんでもいろんな人がいるよなぁ』と自然に思えたでしょう。それぐらい気持ちを大きく持って構えていて欲しい」と話していました。
外資系は本当に実力主義?

講演後の第二部では、ニューズウィーク日本版編集長の竹田氏をファシリテーターに迎え、パネルディスカッションを行いました。竹田氏から「外資系企業は実力主義と言われるが、実力主義とはやはり結果を出すということか?」と質問されると、松本氏は「文化や民族、ジェンダー、宗教など、いろいろな要素が交わった多様性の中で評価を出さなければならないため、やはり結果で評価することが多くなるのでは」と発言。しかし、松本氏によれば、実力主義とは結果が出せなければすぐに首になるという意味ではなく、「本人の実力に見合ったキャリアが与えられる」というポジティブな側面もあります。また、フクシマ氏も、「実力がはっきりと数字で現れる仕事とそうでない仕事があり、必ずしも数字で評価されるわけではない」と述べました。また、自分をアピールすることが上手い人とそうでない人もいるので、「そういった個人的、もしくは文化的背景の違いを踏まえてしっかりとその人を評価できるのも、リクルーターの資質のひとつとされている」とのことでした。
最後に、「多様性、異文化への対応力を向上し、グローバルに通用する人材になるために今日からできることは?」という問いに、松本氏は「自分と違う分野の仕事をしている人や年齢の違う人と友人になる、または意見を交換する場を持つこと。友人がいなければ雑誌を読んで傾向を知っておくという努力も必要」と述べました。一方、フクシマ氏は「毎朝、日本語と英語の新聞を音読することで、語学力のセンス、そして今話題になっていることへの感覚を研ぎ澄ませておく」とアドバイス。さらに「この領域については詳しい」という部分を集中的に読むことにより、専門性も同時に深められとのことです。
また、講演後、参加者からは次のような感想が出されました。以下は、会場から回収したアンケートの一部です。
「講演を聞くことによって、外資で働く上で重要なことが整理された」
「キャリアパスを構築する上での具体的な行動指針を示していただき、ためになった」
「外資系企業が求めている人材、ニーズを知ることができた」
「会場の設定、時間配分などに問題があった」
「講師の方々の体験談、そこから得られた教訓は大変興味深かった」
「日本の企業で働く上でも参考になった点が多い」
「時間が短すぎた」
