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モーツァルトとクジラ

執筆者: 三田法子
掲載日: 2007-01-26

アスペルガー症候群に悩む男女が
織り成すハートウォーミングなラブストーリー


アスペルガー症候群とは「知的障害のない自閉症。特定の分野では秀でた才能を発揮するが、会話能力障害、繰り返し行為、刺激に対する過大な反応など、社会適応に不具合が生じてしまう発育障害の一種」と定義されている。20年前まで存在することさえ知られていなかったこの病気、今では10歳以下の子供の 150人に一人は自閉症、もしくはそれに似た症状があるとされている。本人や周りも病気だと認識しにくいため、世間からは「風変わりな人」「付き合いにくい人」として扱われるケースが多い。

一見普通の若者であるドナルド(ジョシュ・ハートネット)だが、アスペルガー症候群を抱え、苦悩する日々を送っている。タクシーの運転手として働くものの、数字を見ると他のことが一切頭に入らなくなり、失敗ばかりでタクシー会社を転々とする日々。その一方で、同じような障害を持つ仲間を集めてサークルを作り、リーダーとして皆の適応能力向上に努めていた。そこに新しく美容師のイザベラ(ラダ・ミッチェル)が参加したことが彼の転機となり、物語は始まる。

同じアスペルガー症候群を患うイザベラは、自由奔放で思ったことをすぐに口に出し、しばしば相手を困惑させる。正反対の性格だが、同じ不安と葛藤を抱えていることでシンクロし、恋に落ちていく。ところが二人の関係はなかなかスムースには進まない。お互い、相手を喜ばせるため為の行為が、逆に刺激を与え、お互い想像していなかった相手の症状に驚き、傷ついてしまう。それでも求め合い、引き合う二人は、この大きな壁を乗り越えられるのだろうか?

この映画は、ジェリー・ニューポート氏の半生に基づいて作られた作品だ。知人に薦められて見た「レインマン」がきっかけで自分がアスペルガー症候群であることを知ったというジェーリー氏。彼は幼いころはイジメに合い、自らがアスペルガー症候群だと気づくまでは、他人と理解しあうことを諦めかけていたという。

アスペルガー症候群でなくとも、一方的なコミュニケーションのトラブルは、多くの職場で見受けられるかもしれない。どんな状況でも融通が利かず、頑なに同じステップを守り通し、他人にも「いつものやり方」を強要する。仕事をやっていると、よくそんな人に遭遇する。

アスペルガー症候群であるか否かにかかわらず、コミュニケーションはすべての人が抱える共通の悩み。他人と付き合うのが不器用で孤独を感じている人、また、学校、職場、取引先や隣人との関係に疲れている人も、気持ちが少し楽になる糸口が見つかるかもしれない。

ちなみに脚本は88年に「レインマン」でオスカーを受賞したロナルド・パスが担当している。

タイトル:『モーツァルトとクジラ』

公開表記:2月10日(土)
シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
配給:アートポート
公式HP:http://www.mozart-kujira.jp

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