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第33回: 語学習得の山
執筆者: きょうこ先生
場所: 東京
掲載日: 2007-04-17
語学習得の山 その1 - くしゃみの呪縛から解き放された日本
英語を勉強する時、みんないろんな山にぶちあたりますよね。いくつもの山を乗り越えて成長していくわけですが、いつになっても小さな山は存在するものだなぁと実感します。
私の場合の小さな山で、覚えていることをいくつか挙げてみようと思います。まず、中学生で初めて英語を勉強し始めた時、ローマ字書きできない英単語の綴りを覚えるのに悪戦苦闘したのが最初です。そして同じく中学生。「疑問文を作る時は、語順をひっくり返したり、“do”や“does”といった助動詞が登場したり、動詞は原型にしたりするのがルールよね」と思っていたのに、突然「Who says so?」という疑問文が登場した時は、「どうして語順がひっくり返らないの? どうして動詞が原型じゃないの??」とパニックに陥ったものです。
その後も、「発音記号のコレとアレはどう違うの?」という疑問や、接続詞や主語などをひとまとめにして現在分詞で表現する「分詞構文」がやたらと不自然に感じて仕方なかったこと、否定疑問文のYes/Noの答え方に慣れなかったことなど、さまざまです。その都度私は悩みつつ、学校の先生に食いついたり、慣れるまでいろんな文章を暗記したりして、小さな山を越えてきました。
さすがに英語の先生レベルになると、文法などの分野で山にぶちあたることはありません。否定疑問文だっていまや何の苦労もなく使いこなせますし、分詞構文も怖くありません。でも、そんな私でも未だ怖いものがあります。それは、単語や慣用句です。
単語や慣用句は、一生かかっても完璧に習得することは不可能じゃないだろうかと思ってしまうほど大きな山です。母国語の日本語でさえ漢字や四字熟語を完璧に習得するにはまだまだ道途中の私にとって、語彙力を身につけることってある意味ライフワークだなぁと感じます。
さて、その語彙力という大きな山も、ひとつひとつの単語や熟語は小さな山に過ぎません。地道に覚えさえすれば、ちりが積もって徐々に山を大きくすることができます。
ところが、覚えるより前に理解不能な表現が存在するのも事実です。例えば英語の「Bless you」という表現。アメリカに住んだことのある人なら、誰かがくしゃみをすると周りの人が「Bless you!」と声をかけるのを知っていますよね。この表現は、その昔くしゃみをすると魂が抜け出てしまうと考えられていたため、そうならないよう「神の恵みがありますように」と祈ったことが背景にあるとされています。
実は日本でも遠い昔、くしゃみは魂が抜け出すものだと考えられていたそうです。くしゃみの語源で、歌舞伎の世界に残っている「くっさめ」という言葉、これはまさに英語の「Bless you!」と同じで、くしゃみをした人に対して使われていた言葉なんだとか。
現代の日本では存在しないこの表現を、辞書だけで理解するのは難しいものです。もちろん、背景について説明した辞書もありますが、もし今でも日本でくしゃみをした人に対し「くっさめ」と言っていたならば、外国で「Bless you」を聞いた日本人はすぐに「あぁ、くっさめのことね」と理解できたでしょうにね。
