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バベル

執筆者: zai
掲載日: 2007-04-23

孤独と絶望から心を救う
06年の最高傑作がついに公開


菊地凛子のアカデミー助演女優賞ノミネートに注目が集まった「バベル」がいよいよ公開される。タイトルは、人間が天にまで届く塔を建てようとしたことで神の怒りをかい、お互いの言葉が通じなくなってしまったというバベルの塔の物語に由来する。監督は『アモーレス・ペロス』『21グラム』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。何組かの登場人物たちの物語が平行して進み、そして思いもよらぬところから絡み合っていくスタイルは前の2作と同様だ。


愛を無くしつつあるアメリカ人の夫婦、その子供たちを育てているメキシコ人の乳母。荒野で暮らすモロッコ人の家族、満たされない思いに焦燥感を抱く聾の女子高校生と、そんな娘と心を通わせることができない父親。何の関係もなさそうなこの登場人物たちが、ひとつのライフルで繋がっていく。モロッコの少年が撃ったライフルの弾丸がアメリカ人の妻に当たったのだ。そしてそのライフルの所有者が聾少女の父親だという。

意志の疎通ができない者たちの孤独感を漂わせながら進んでいくストーリー。その果てにある絶望をイニャリトゥ監督はまざまざと見せつける。しかし、彼が描きたかったものは共感や許容を失った絶望ではなく、人々をそれから救うたったひとつの方法だと思う。イニャリトゥ監督はきめ細かく描写した心のゆれを通し、繊細にそしてしっかりと「愛」をすくい上げて我々の前に見せてくれる。

もうひとつ、本作で特筆すべきは俳優陣の演技力だ。ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェットの2大ハリウッド俳優をはじめ、モロッコで現地起用した素人の少年にいたるまで素晴らしい演技を見せてくれる。なかでも菊地凛子は評判以上。思春期の少女が持つ苛立ちや孤独、哀しみを見事に演じきっていて圧巻だ。

最後に、耳の不自由な方にもわかるように日本語の会話にも日本語字幕を入れて公開することを配給会社が決定したことを付け加えておく。


(C) 2006 by Babel Productions, Inc. All Rights Reserved.

公式サイト http://babel.gyao.jp/
タイトル:『バベル』
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
4/28よりスカラ座ほか全国東宝洋画系にて公開

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