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第29回 : ASEAN Plus Three

執筆者: 正木寿根
掲載日: 2007-06-11


今回のキー表現 currency swap


Japan, China as anchors of financial stability

By Hisane Masaki
TOKYO - A decade after the devastating financial crisis that swept through Asia, 13 regional economies have agreed on an ambitious plan to launch a multilateral currency-swap scheme by pooling funds from the region's vast foreign-exchange reserves to weather similar upheavals in the future.
(Asia Times   May 8, 2007)


*引用文は原文と一部異なることもあります
  • anchor  錨(いかり);頼みの綱, 力となるもの
  • financial stability  金融(システム)の安定
  • decade  10年、10年間
  • devastating  壊滅的な、甚大な、多大な
  • financial crisis  金融危機
  • sweep through  (嵐・波などが)吹き荒れる, 猛威をふるう;(流行・思想・病気などが)さっと広まる
  • multilateral  多国間の
  • currency-swap scheme  通貨交換(スワップ)スキーム
  • pool funds  資金をプールする
  • vast  巨額の、膨大な
  • foreign-exchange reserves  外貨準備(高)
  • weather  (嵐・困難などを)切り抜ける、乗り切る
  • upheaval  大変動、激変、激動

和訳

アジアが深刻な金融危機に見舞われてから10年を迎え、地域13か国は将来の危機に備えて域内の巨額の外貨準備から資金をプールして多国間通貨スワップのスキームを構築するという野心的な計画に合意した。

覚えておきたい関連・応用表現

  • ASEAN Plus Three  ASEANプラス3
  • forex reserves (=foreign-exchange reserves)  外貨準備(高)
  • Asian Monetary Fund (AMF)  アジア通貨基金
  • International Monetary Fund (IMF)  国際通貨基金
  • Asian Development Bank (ADB)  アジア開発銀行
  • Chiang Mai Initiative (CMI)  チェンマイ・イニシアチブ
  • Asian Bond Markets Initiative (ABMI)  アジア債権市場(育成)イニシアチブ
  • Asian Currency Unit (ACU)  アジア通貨単位
  • East Asian Community (EAC)  東アジア共同体
  • East Asia Summit (EAS)  東アジア首脳会議
  • Executives' Meeting of East Asia-Pacific Central Banks (EMEAP)  東アジア・オセアニア中央銀行役員会議、東アジア・太平洋中央銀行役員会議


解説

第29回 : ASEAN Plus Three
第10回東南アジア諸国連合・日中韓(ASEANプラス3)財務大臣会議が5月5日京都で開催され、通貨危機に備えて各国が保有する外貨準備の一部を拠出し合う新たな多国間体制を構築していくことで合意、今後構想の具体化に向けて作業を進めていくことになった。1997年夏のアジア通貨危機発生から今年は10年を迎える。同危機を契機にASEANプラス3の枠組みで通貨・金融分野を中心に始まった地域協力は確実に深化している。

1997年夏にタイの通貨バーツの暴落を引き金にアジア各国の通貨が急落し、インドネシア、韓国をはじめ各国経済に大きな打撃を与えた。同危機で欧米主導の国際通貨基金(IMF)の対応が不十分だったことから、ASEANプラス3の枠組みで通貨・金融、その他の域内協力が始まった。2000年5月に合意されたチェンマイ・イニシアチブ(CMI)に基づいて、相手国の通貨危機時に一定額の外貨を融通し合う2国間協定が相次いで結ばれた。

CMIに基づく2国間協定は現在、8か国間で16あり、総額は800億ドルに達している。ただ、実際に送金するかは各国の通貨当局の判断に委ねられている。今回合意されたのは、こうした2国間の協定から成るネットワークを多国間のものに発展させ、通貨危機時の対応の迅速性、実効性を高めるのが狙いだ。具体的な各国の資金拠出額、プールした外貨の管理機関、借入限度額、発動メカニズムなどの詳細は今後詰める。今回のASEANプラス3財務大臣会議で中国の金財政部長と共同議長を務めたタイのチャロンポップ財務大臣は「2~3年以内に結論が出ることを期待している」と述べている。

アジア通貨危機から10年経った今、直ちに危機が再び発生すると見る向きはほとんどない。今回のASEANプラス3財務大臣会議で採択された共同声明は力強い成長を続ける域内経済状況について、「2007年の成長見通しは依然として好調であり、外部環境も域内の景気拡大にとり概ね良好」との判断を示している。一方、「世界の主要国経済が減速した場合の波及効果、大きな世界的不均衡、金融市場の変動の増大、保護主義的な感情の高まり等を含む主たるリスク要因がもたらす課題」について警戒を怠らないよう注意を促している。

10年前の通貨危機から完全に立ち直ったアジア諸国の多くでは、外貨準備高が倍以上に膨らんだ。現在、地域の保有外貨準備高は約3兆ドルと世界全体の3分の2に達している。今回合意された外貨プール構想では、日本と中国が中心的役割を担うことになるのは確実だ。中国の外貨準備高は昨年2月に日本を抜いて世界1位。現在の保有額は約1兆2000億ドル。2位の日本は約9000億ドル。日中両国合わせて約2兆1000億ドルとアジア全体の7割を占めている。

今回合意された外貨プール構想は、足元では好調なアジア経済だが将来に備え、「経済のグローバル化が高まっていることを認識し、地域の耐性を強化する」(共同声明)ための域内金融協力策として打ち出されたものだ。ASEANプラス3財務大臣はまた、共同声明で、貯蓄率の高いアジア諸国の資金を経済発展に必要な域内インフラ整備などに調達するため債券市場活性化を目指して2003年8月に合意された「アジア債権市場育成イニシアチブ」を推進することを確認している。


レベルの高い英文を書くためには使う単語ひとつにも気を使う必要がある。テキストの英文では、「(嵐・波などが)吹き荒れる;(流行・思想・病気などが)さっと広まる」の意味のsweep throughという表現を使った後にweather「(嵐・困難などを)切り抜ける、乗り切る」という英単語を選んで使っている。13 regional economiesとあるのは、もちろん13 Asian economiesとしてもよいのだが、直前にAsiaという単語があるので避けたほうがよい。また、upheavalsとあるのは、もちろんcrisesとしてもよいのだが、ひとつの文の中で同じ単語を使うのはできるだけ避けたい。

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