メインメニュー
関連カテゴリー
eBenkyoの記事を検索
フリーダム・ライターズ
執筆者: 三田法子
掲載日: 2007-07-11
ある新米女性教師が起こした奇跡の実話。
2度のアカデミー賞に輝くヒラリー・スワンク主演&初プロデュース作品。
本作は、人種間の抗争が今なお続くロサンゼルスを舞台に新米教師と生徒たちが互いに学び合い、成長していく姿を追った感動作である。
ロス暴動から2年。沈静化されたと言っても、アフリカン−アメリカン、ラティーノ、アジアンなど人種の対立は続き、住民は常に危険にさらされていた。ロサンゼルス郡ロングビーチのウィルソン高校に、新人英語教師、エリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)が赴任してきたのはそんな頃だ。
着任当日、意気揚々と最初の授業に挑んだエリンだが、クラスは人種間で一触即発状態。ロングビーチ社会の縮図のような有様だった。一体自分に何が出来るのか?苦悩する日々を送っていたある日、クラス内でアフリカン-アメリカンを中傷する、唇を誇張して描かれた絵が回覧され、激怒するエリン。「第二次世界大戦のホロコーストはこうした差別から始まった」、と生徒たちに説明するが、驚くべきことに彼らは「ホロコースト」という言葉を知らなかった。が、このことでエリンはひとつのヒントを得る。今、彼らに必要なものは、視野を広げ世の中を知り、自分自身を客観視する力。彼女にかすかな光が見えた瞬間だった。早速エリンは、教師以外にバイトを2つかけもち、生徒たちに日記をつけるためのノートと、「ホロコースト」を理解するために教材として「アンネの日記」を買い与える…。
これまでも熱血教師が荒廃した学校を建て直す話は多く作られてきた。それらに登場する教師の多くは、熱弁を振るい、生徒と同じ目線に立つという名のもとに心にドカドカと入り込む、もしくは体力勝負で共に汗を流すことで分かり合おう的なものが目立ち、個人的には「熱血」というより「暑苦しく」さえ感じていた。だが、エリンはそのどれとも違う。「愛情」と「教育への信念」だけで、彼らを静かにすくい上げて行く。その姿は、実話だからこそリアルに見る側に伝わってくるのだろう。
彼らは「書くこと」で、鬱積した感情を吐き出すと同時に、自分の置かれた状況を冷静に確認していく術を知って行く。また、辛い日々を耐えながら日記を綴り続けたアンネの姿とシンクロさせることで、「書き続けること」が現実を生き抜くひとつの対処法になっていったのだ。学ぶことを知り、知りたい欲求を満たしながら成長していく彼らの表情が、徐々に明るく希望に満ちてきて胸を打つ。
原作は彼らが4年間通して綴った実在の142編の日記から構成されているノンフィクション。自らを「実話おたく」と語るヒラリー・スワンクは、脚本を読んだ途端、主役エリン・グルーウェルの人間性に深く共鳴し、製作総指揮を買って出たという。
同じ民族同士なのに、「いじめ問題」が深刻化している日本の教育現場。今そこに欠けているものは何かというヒントを、この映画は与えてくれるかもしれない。
『フリーダム・ライターズ』
7月21日(土)よりシャンテ シネ他全国ロードショー
公式サイト:http://www.FW-movie.jp
(C)2006 Paramount Pictures. All rights reserved.
UIP映画配給
