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第38回: 「Stewardess」は消えても「スッチー」は!?
執筆者: CC Consulting Staff
場所: 東京
掲載日: 2008-03-17
「Stewardess」は消えても「スッチー」は残る!?
「Politically Correct」という英語の表現を聞いたことがありますか? 直訳すると「政治的に正しい」という意味ですが、これは、性別などの特徴を特定するような用語を避け、「政治的に正しい」表現を使いましょうという1980年代の社会の流れの中で生まれた表現です。
この時期、「男女の判別ができる職業的表現」が一気に中性化されました。例えば、警官は「Policeman」から「Police Officer」になり、消防士は「Fireman」から「Firefighter」になりました。日本でも、少し遅れて1999年に「保母」の正式名称が「保育士」になり、2002年には「看護婦」が「看護師」になりました。
「Stewardess(スチュワーデス)」という言葉も、政治的に正しくない(“-ess”が女性を特定している)として消え去った表現のひとつです。現在、英語でこの職業の名称は「Flight Attendant」や「Cabin Attendant」「Crew」と呼ばれていますし、日本語でも英語の名称をそのまま使うか、それを日本語に訳した「客室乗務員」という表現が使われています。客室乗務員をテーマにしたドラマのタイトルも、1983年には「スチュワーデス物語」だったのが、2006年には「CAとお呼びっ!」になりました。2つのドラマに関連はありませんが、ドラマのタイトルも時代の流れと共に変わることが実感できます。
さて、こうしてどんどん言葉の中性化が進む中、社会は言葉と共に変化したのでしょうか。実は数週間前、ユナイテッド航空でアメリカ出張に出かけた時、「あれ、何だか男性の客室乗務員が多い気がする」と感じたのがこのコラムを書くきっかけでした。
その時私は、隣2席が空席となっている通路側の席を確保したのですが、空席の2席には「Reserved for Crew」と書かれた紙が置かれていました。座席に着いた2人は若い男性。「Crewが一般の客席に座るなんてめずらしいな」と思いましたが、彼らはほとんど仕事で動き回っていて、離陸と着陸時にしか席にいなかったため、私は快適に長時間のフライトを過ごしました。
着陸体制に入った時に戻ってきた2人のCrewたちは、「少しでも寝た?」「いや全然」といった会話をしています。そこに機内アナウンスが流れました。「今日はいつもよりCrewが6人多く乗務していました。その6人は訓練生で、今回が初フライトとなりますが、2週間後に正式なCrewとなります。彼らを見かけたら励ましの声をかけてあげてください」
そうか、この2人は訓練生だったのか、と思い、「訓練生でしょ?お仕事大変そうね」と声をかけてみました。訓練生6人のうち少なくとも私の隣の2人は男性で、この2人以外にも男性乗務員を見かけたため、「Stewardess」という言葉が「Flight Attendant」になった今、この職業も「女性の職業」という概念がなくなってきたのでは?と感じてその事実を確認したかったのです。
その訓練生に聞いたところ、ユナイテッド航空の客室乗務員の男女比は、女性が約70%で男性が約30%とのこと。まだまだ女性の数には及びませんが、確実にひと昔前より男性比率が上がっている気がします。
とはいえ、日系の航空機に搭乗して男性の乗務員を見かけることはまずありません。Wikipediaによると「日本航空と全日空の大手航空2社に関しては、現在のところ契約制客室乗務員としての(男性の)採用は過去10年以上の間全くない」となっています。ふむ。確かに、英語で「Stewardess」はほぼ死語となりましたが、日本語の「スチュワーデス」や「スッチー」という愛称は、まだ一般的には現役で使われていますものね。
日本で「政治的に正しい言葉」が「政治的に正しい職業」に発展するにはまだ時間が必要なのかな、いやそもそも「“-ess”は女性」なんて概念のない日本人が、わざわざスチュワーデスという言葉に敏感になる必要はあるのかな、なんてことをいろいろ考えつつ、訓練生の2人に「Good Luck!」と声をかけて飛行機を降りました。
