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NY砂漠を行く

Vol.4 個人情報流出が気になった日

アメリカでもインターネットを使っての仕事探しは盛んだ。Monster.comなどの求人サイトに履歴書を公開しておくと、メールや電話で問い合わせが来る。

ある日のこと、人材紹介会社から私の履歴書を見たので仕事を紹介したいという旨のメールが来た。「日本語でリサーチができる人を探しています。勤務はシフト制」という内容。詳細は面接で、ということだったので、電話で日時を約束して、その会社を訪ねた。

まずは履歴書や個人情報などを登録用紙に記入するように言われる。その後、ラテン系の陽気なお姉さんに案内された部屋で待っていると、マネージャーの男性が入って来た。早速、仕事内容について説明される。日本の家庭に電話をかけて、家族構成といった簡単な項目についてアンケートを取るというもので、商品などの売り込みは一切ないという。あれ? 企業のリサーチを予想していたのだが、どうやら違うようだ。おまけに、私の経歴について質問してこない。その上、日本の一般家庭の電話番号リストなんてどうやって入手しているのだろう? 話を聞いているうちに、いろんなことが気になってきた。時差の関係で勤務時間が夜中や早朝だという。うーん、それもきつい。「じゃあ、昼間の勤務が出てきたら、また連絡するよ」ということで話は終わり、事務所を後にした。

帰宅途中、あれこれ思い返しているうちに、提出してきた自分の登録用紙のことが気になってきた。ニュースでよく取り上げられている個人情報流出問題が頭をよぎる。会社の雰囲気にもなんとなく違和感を覚えていたので、念のため登録を取り消しに行くことにした。

翌朝、事務所に行ってみると昨日のラテン系お姉さんはいない。男性社員に、彼女が何時頃出社するか聞いてみると「知らないよ」と愛想のない返事。「昨日、登録に来たんですが、取り消したいので登録用紙を探してもらえませんか」と、こちらの用件を伝える。ところが「僕には分からない」と、これまたやる気のない応対だ。自分が座っている椅子から一歩も動こうとしない。すると、私達のやりとりを見ていた別のお兄さんが立ち上がった。「何語の仕事に登録したの? 名前は?」と尋ねると、書類が積まれたデスクの方に行き、ファイルの中から私の用紙を探し出してくれた。やれやれ、これでひと安心。親切なお兄さんにお礼を言って、会社を後にした。

その会社が怪しいかどうかは分からないが、警戒心を抱かせるような雰囲気があったことは確かだ。これだけ個人情報流出の被害が報じられているのだから、注意するに越したことはない。気持ちの引き締まる一件だった。

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