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きょうこ先生

第15回:音質と聞き取り能力の関係

数年前、私が教えていたTOEICのクラスでトップレベルの成績を収めていた生徒Kさんが、アメリカのグリーンカードの抽選に当選し、移住を決意しました。仕事を辞め、家族を連れての海外移住という大がかりなものです。でもKさんは、英語もデキるし、仕事上で海外とのつきあいやコネも十分にあって、アメリカでも十分やっていけるだろうと思える人だったので、「がんばってください!」と手放しでエールを送りました。

渡米後に何度かメールをやり取りし、仕事も順調に進んでいる様子だったので、さすがだなぁと思っていたところ、ある日Kさんから少し弱気なメールを受け取りました。「Listeningが全然上達しない。現地に住めば耳も慣れてくるだろうと思っていたが、半年経っても全く進歩せず、電話での会話は相手が何を言っているのかさっぱりわからないことさえある」。うーん、そうか。優秀なKさんでも弱気になっちゃうか。

Kさんの英語は、TOEICの点数で言うとだいたい800点くらいのレベルで、Listeningも十分できていた人でした。でも、確かに現地で耳にする Listeningは違うんですよね。英語教材で耳にする英語は、発音もきれいでアナウンサーのようにハキハキしゃべっているものばかり。しかし実際には、世間の人がすべてアナウンサーのようにハキハキしゃべってくれるわけじゃないのです。そういえば私も海外生活をしていた頃、ドライブスルーのガミガミしたマイク音が苦手だったなぁ、などと思い出しました。

ドライブスルーのマイク音や電話って、やっぱり生の声より音質が劣りますよね。英語は母音や子音の数が日本語より多いから、特に聞き取りにくいんだよ、なんて言い訳する日本人もいますが、そういうわけじゃないんです。一度私は、日本語がぺらぺらで聞き取りも完璧だと思っていたアメリカ人に、歯磨きをしながら日本語で話し掛けたことがあるのですが、周りにいた日本人が全員私の話した内容を理解したにも関わらず、その日本語ぺらぺらのアメリカ人は私の言っていることを全く理解できませんでした。話した内容はすごくシンプルなもので、歯磨きをしていたとはいえ、結構はっきり(普通に近い状態で)しゃべっていたつもりだったのに、「何言ってるのか全然わからない」と言われてびっくりした覚えがあります。

そう。ネイティブでない私たちの聞き取り能力は、音質に大きく左右されてしまうんですよね。これは言語学者の研究結果としても発表されていることなんです。TOEICのListeningなんて簡単すぎて・・・という人でも、私やKさんのように「こういう状況では全く英語が聞き取れない!」と感じたことがある人もいるのではないでしょうか。アメリカ人に歯磨きしながらしゃべってもらって、悪条件での聞き取り訓練をすれば上達するのかなぁ・・・誰かいい方法を知っていたら教えてください。

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